THE NAVIGATORS Pathfinders Of The Pacific.mpg

THE NAVIGATORS Pathfinders Of The Pacific.mpg

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1
00:00:53,887 --> 00:00:58,892
ワイ島
2
00:01:12,505 --> 00:01:17,510
ハワイは人 タヒチの子
3
00:01:19,779 --> 00:01:26,820
ハワイは 1000年以上前に太平洋を渡った
タヒチ海洋民族の最終到達地
4
00:01:28,188 --> 00:01:35,762
1976年 一艘のカヌーがハワイを発った
伝説のタヒチ航海ルートを遡る旅だ
5
00:01:44,838 --> 00:01:50,777
カヌーを操るのは
航海術の最後の伝承者 マウ・ピアイルック
6
00:01:57,250 --> 00:02:02,255
タヒチへの旅には重要な意味がありました」
7
00:02:02,956 --> 00:02:07,961
タヒチ人もハワイ人も はかつて私たちと同じように
 海を渡って暮らしていました」
8
00:02:09,229 --> 00:02:14,234
「太古の人々は機械ではなく
 星や波を利用して移動しました」
9
00:02:20,173 --> 00:02:25,178
「私は 彼らの先祖が持っていた技術が
 実現可能であることを示したかったのです」
10
00:02:26,980 --> 00:02:30,617
「私たちミクロネシア人は
 今でもそれができるのです」
11
00:02:35,789 --> 00:02:41,995
マウはミクロネシア
ハワイから西に2000マイル
12
00:02:42,629 --> 00:02:45,999
小さな島々は 大洋に隔てられている
13
00:02:46,700 --> 00:02:50,870
人々は
マウのような航法師に頼って生活する
14
00:02:51,504 --> 00:02:55,8
「コースから外れるな
 潮流が強い」
15
00:03:00,613 --> 00:03:05,618
「島に向けてまっすぐに舵をとれ」
16
00:03:12,225 --> 00:03:19,399
サタワル島の航海士は
かつて太平洋全域に広がった海洋民族の末裔だ
17
00:03:21,935 --> 00:03:28,942
ナビゲーターズ(航法師たち)
18
00:03:33,179 --> 00:03:34,881
太平洋
19
00:03:35,281 --> 00:03:38,785
地球上のすべての大陸を合わせて余りある
20
00:03:39,19 --> 00:03:41,688
ヨーロッパ人がこの広大な海にやってきたときには
21
00:03:42,55 --> 00:03:48,561
1万を超える島のほぼすべてに
海洋民族が住んでいた
22
00:03:51,765 --> 00:04:01,241
西太平洋の最果ての島々では
航海の秘術が今も世代を超えて伝えられる
23
00:04:03,576 --> 00:04:10,316
サタワル島は小さなサンゴ礁
面積1平方マイル 海抜わずか8フィート
24
00:04:16,122 --> 00:04:18,491
「あの雲を見ろよ」
25
00:04:19,325 --> 00:04:23,263
「あの雲は 2,3日前の嵐の雲だな」
26
00:04:24,631 --> 00:04:27,634
「海面に近い」
27
00:04:28,668 --> 00:04:32,539
マウ・ピアイルグは 父と祖父から
航海術を教わった
28
00:04:33,106 --> 00:04:36,376
今度はマウが伝える番だ
29
00:04:37,644 --> 00:04:42,649
夕暮れ時 マウは甥に
空と海の天気を読む方法を伝える
30
00:04:42,949 --> 00:04:47,954
「海に出るには良い天気になるだろう」
31
00:04:49,622 --> 00:04:51,758
「雲が低い」
32
00:04:53,159 --> 00:04:55,662
「嵐は来ない」
33
00:04:56,496 --> 00:05:03,770
空の形や色 そして師の言葉が
いつの日か甥を海の向こうに導くだろう
34
00:05:08,708 --> 00:05:12,412
「私たちの航海術はあなたがたのものとは違います」
35
00:05:12,645 --> 00:05:17,650
「海図も六分儀も要りません
 ただ頭を使うだけです」
36
00:05:18,852 --> 00:05:21,888
「海と空をしっかりと見て」
37
00:05:23,56 --> 00:05:26,159
「そして先人の教えを思い出すのです」
38
00:05:28,528 --> 00:05:30,463
「航法師には2つの階級があります」
39
00:05:31,464 --> 00:05:35,969
「普通の船乗りは‘パル’と呼ばれます」
40
00:05:36,603 --> 00:05:41,608
「航海術と秘術の両方を体得した者が‘ポー’です」
41
00:05:42,942 --> 00:05:47,947
「‘ポー’になるためには 
 特別な儀礼を通過しなければなりません」
42
00:05:48,982 --> 00:05:52,786
‘ポーの儀礼’は20年以上行われていない
43
00:05:53,687 --> 00:06:00,827
マウは秘術と航海術を体得した最後の男だ
44
00:06:05,699 --> 00:06:08,34
海は男の領域
45
00:06:09,469 --> 00:06:12,772
サタワルの土地は女の領域
46
00:06:15,775 --> 00:06:19,112
マウは 妻カトリーナとのあいだに
16人の子がいる
47
00:06:20,80 --> 00:06:23,983
土曜日には 家族の女たちがあつまって食事の準備をする
48
00:06:36,896 --> 00:06:41,901
ココナツ パンノキ タロイモは 
太平洋諸島共通の主食だ
49
00:06:46,773 --> 00:06:49,609
これらの食用植物は 島の在来種ではない
50
00:06:49,943 --> 00:06:52,879
初期の移民が持ち込んだものだ
51
00:06:58,585 --> 00:07:00,820
マウは50歳
52
00:07:00,987 --> 00:07:03,890
子供の頃に航海術を学んだ
53
00:07:07,727 --> 00:07:11,564
「祖父が 仕事が休みのときに教えてくれました」
54
00:07:14,100 --> 00:07:16,302
「彼が亡くなるまで 私は注意深く耳を傾けました」
55
00:07:17,504 --> 00:07:19,372
「父も 私に教えてくれました」
56
00:07:26,12 --> 00:07:31,17
「一人で船を扱えるようになって 
 航海術の重要性に気づきました」
57
00:07:31,518 --> 00:07:35,188
「航海できない男は
 尊敬されません」
58
00:07:36,289 --> 00:07:39,459
「そんな男に名前はありません」
59
00:07:53,39 --> 00:07:58,712
年に2-3回 サタワルの男たちは共同で遠征漁を組織する
60
00:08:00,46 --> 00:08:02,582
マウが最終的な指示を出す
61
00:08:03,616 --> 00:08:05,585
「聞いてくれ」
62
00:08:06,353 --> 00:08:13,426
「網を仕掛けたら 輪になって」
63
00:08:13,760 --> 00:08:16,496
「魚を追い込むんだ」
64
00:08:33,313 --> 00:08:38,885
サタワル島は小さく サンゴ礁に囲まれていて
食べ物がほとんどない
65
00:08:53,600 --> 00:08:58,38
サンゴ礁を保護するため 村長はあらゆる漁における
禁止事項を決めている
66
00:08:59,205 --> 00:09:02,242
このようなイベントを許可することは滅多にない
67
00:09:22,328 --> 00:09:27,334
男たち全員が丸一日漁をして わずか200パウンド
68
00:09:31,104 --> 00:09:33,573
サタワル島の人口は500人
69
00:09:33,640 --> 00:09:35,809
35家族
70
00:09:36,376 --> 00:09:39,579
漁獲は 平等に配られる
71
00:09:41,548 --> 00:09:45,318
マウは‘サオネ’と呼ばれる 分配の達人だ
72
00:09:50,824 --> 00:09:53,793
「サタワルのサンゴ礁は 状態が良くありません」
73
00:09:55,562 --> 00:09:59,65
「魚が足りないので 他の島に食料を頼っています」
74
00:10:04,537 --> 00:10:07,774
「西ファユ島には 魚がたくさんいます」
75
00:10:08,174 --> 00:10:10,377
「私たちにとっての 食料庫です」
76
00:10:11,478 --> 00:10:15,315
「あそこまで行かないと 餓えてしまいます」
77
00:10:43,443 --> 00:10:48,448
海に出るときは 皆 航法師に敬意を払う
78
00:10:50,684 --> 00:10:53,787
マウはカヌー乗員すべての命に責任を負う
79
00:10:54,487 --> 00:10:56,523
すべての判断は彼が下す
80
00:10:58,858 --> 00:11:00,694
乗組員は彼の子供のようなものだ
81
00:11:17,377 --> 00:11:22,382
追い風に乗って 西ファユ島まで10時間の航海
82
00:11:24,84 --> 00:11:29,89
この機会に マウは乗組員たちにうねりの読み方を教える
83
00:11:33,293 --> 00:11:38,198
「あのうねりは北から来るんだ」
84
00:11:40,567 --> 00:11:44,671
「あれかい?」
「そうだ」
85
00:11:45,171 --> 00:11:49,9
「あっちに向かっている」
86
00:11:53,146 --> 00:11:56,983
マウは 8種類のうねりを見分けることができる
87
00:11:57,384 --> 00:11:59,953
その知識をつかって進路を定める
88
00:12:01,221 --> 00:12:07,427
「あれは東からのうねり」
89
00:12:18,138 --> 00:12:21,141
西ファユ島は大きなサンゴ環礁
90
00:12:21,908 --> 00:12:24,477
海産資源の豊かな島だ
91
00:12:32,585 --> 00:12:35,789
「西ファユ島は ‘フリーランチ’の島と呼んでいます」
92
00:12:35,955 --> 00:12:38,358
「食料がたくさんあるからです」
93
00:12:40,326 --> 00:12:43,63
「西ファユ島は サタワルの領地なので」
94
00:12:43,163 --> 00:12:46,266
「他の島の連中がここで漁をするときは
 私たちの許可が必要です」
95
00:12:46,499 --> 00:12:50,904
「大抵は許可します
 お互い様ですから」
96
00:13:22,335 --> 00:13:25,739
ここで三日間 漁をする
97
00:13:29,943 --> 00:13:32,345
水揚げは700パウンド
98
00:13:33,179 --> 00:13:36,816
サタワル全島の水揚げの約4倍だ
99
00:13:37,851 --> 00:13:39,652
ウミガメも2匹
100
00:13:39,919 --> 00:13:41,855
ごちそうだ
101
00:13:56,603 --> 00:14:02,509
島の中央にあるチャペルで 帰途の無事を祈る
102
00:14:03,109 --> 00:14:09,883
以前はマウが 航海の守護神イェルルウェに
特別な祈りを捧げた
103
00:14:12,285 --> 00:14:16,356
今 男たちが祈るのはキリスト教の神だ
104
00:14:23,630 --> 00:14:25,799
「みんな 古の精神を忘れてしまいました」
105
00:14:30,437 --> 00:14:33,106
「かつて 航法師にはもっと権威がありました」
106
00:14:36,843 --> 00:14:41,848
「船乗りたちが航法師に敬意を払ったのは
 秘術を使えたからです」
107
00:14:44,117 --> 00:14:46,519
「かつては 島ごとに1人の航法師がいました」
108
00:14:48,355 --> 00:14:50,657
「今では少なくなりました」
109
00:14:55,95 --> 00:15:00,300
「大切にしないと 航海術は途絶えてしまいます」
110
00:15:05,305 --> 00:15:08,742
サタワルの航法師はその技術の最後の継承者
111
00:15:08,975 --> 00:15:11,845
かつては太平洋全域に見られた技術だ
112
00:15:17,584 --> 00:15:24,791
200年前
ヨーロッパの探検家たちが 島民を詳しく調べ始めた
113
00:15:25,992 --> 00:15:33,800
1779年 英海軍船2隻が
ハワイ沖に錨を下ろした
114
00:15:36,803 --> 00:15:41,74
司令官のジェームズ・クックは するどい観察眼の持ち主で
115
00:15:41,341 --> 00:15:44,644
島民に深い関心をもち
116
00:15:45,311 --> 00:15:48,682
彼らの生活風習を記録するよう命じた
117
00:16:06,966 --> 00:16:09,69
12年間の探検で
118
00:16:09,269 --> 00:16:14,274
南太平洋のほぼすべての
主要な島々を訪れたクック船長は
119
00:16:14,741 --> 00:16:24,284
あらゆる島の 踊り 統治機構 宗教に
著しい類似点を見出した
120
00:16:28,188 --> 00:16:30,824
ポリネシア人’を見出したものクック船長だ
121
00:16:32,258 --> 00:16:34,327
彼らはどこからきたのか
122
00:16:34,828 --> 00:16:37,797
いかにして この最果ての地に文化をもたらしたのか
123
00:16:39,466 --> 00:16:44,471
現在 科学者たちは 太平洋域において
3つの文化圏を区分している
124
00:16:45,38 --> 00:16:50,43
中部太平洋ポリネシアは 最大のグループ
125
00:16:50,777 --> 00:16:53,346
西側がメラネシア
126
00:16:54,581 --> 00:16:58,885
サタワルは北のミクロネシアに属する
127
00:16:59,919 --> 00:17:03,690
ポリネシア人は 2つの場所のいずれかから
移住してきた可能性がある
128
00:17:03,990 --> 00:17:06,326
アジアか アメリカか
129
00:17:07,293 --> 00:17:11,331
太平洋では 強力な風と海流が東から西に流れている
130
00:17:12,399 --> 00:17:17,637
ポリネシア人の起源地がアジアならば
これらの流れに逆らってやってきたことになる
131
00:17:18,705 --> 00:17:23,410
アメリカ大陸が起源地ならば
彼らは単に島に漂着して定住したことになる
132
00:17:26,613 --> 00:17:30,183
卓越風と潮流のことを知ったトール・ハイエルダール
133
00:17:30,183 --> 00:17:33,687
ポリネシア人南米大陸からやってきた と確信した
134
00:17:36,189 --> 00:17:39,859
1947年 ハイエルダール
5人のクルーとともに
135
00:17:40,160 --> 00:17:43,763
彼の理論を証明するために
コンティキ号で冒険の旅に出た
136
00:17:45,532 --> 00:17:47,967
コンティキ号は舵のない筏だった
137
00:17:50,236 --> 00:17:54,607
筏は強い海流に乗って 数カ月間西へと漂流
138
00:17:56,343 --> 00:17:58,812
93日目 初めて陸が見えた
139
00:18:00,647 --> 00:18:04,784
タヒチの東にある列島
トゥアモトゥ諸島だった
140
00:18:07,821 --> 00:18:09,956
筏は方向を変えることができず
141
00:18:10,323 --> 00:18:12,559
最初の島は通過
142
00:18:15,762 --> 00:18:20,767
8日後 コンティキ号はラロイア島の環礁に乗り上げた
143
00:18:24,604 --> 00:18:30,443
ハイエルダールは 南米大陸ポリネシアの間の
漂流航海が可能なことを示した
144
00:18:32,278 --> 00:18:34,748
しかし 海洋民族の移住がこの方法によるものだとしたら
145
00:18:34,881 --> 00:18:39,319
ポリネシア人は 優秀な船乗りでも
熟練の航海士でもなくてよかった
146
00:18:43,223 --> 00:18:48,828
クック船長は ポリネシア人が 操船にも 航海術にも
熟練した民族であると信じていた
147
00:18:49,996 --> 00:18:56,36
クック船長は12年間 太平洋諸島を探索し
ポリネシア人を直接観察した
148
00:18:56,569 --> 00:19:01,574
彼は カヌーが大量の貨物を運び 
自分の船の周りを回るのを見た
149
00:19:03,343 --> 00:19:08,348
数百マイル離れた島々の間を行き来する航海者にも会った
150
00:19:10,817 --> 00:19:15,822
クック船長は ポリネシア人が 風と潮流に逆らって
アジアからやってきたと 確信した
151
00:19:18,425 --> 00:19:25,932
200年前にクック船長が予想したことは
考古学者によって完全に証明された
152
00:19:28,935 --> 00:19:35,742
フィジーのビティレブ島では 
アジアからポリネシアへの移住の証拠が見つかる
153
00:19:39,79 --> 00:19:44,84
シガトカ砂丘で 3層の人間の居住地跡が発見された
154
00:19:47,520 --> 00:19:50,457
最下層には初期のコロニーの痕跡が含まれる
155
00:19:53,326 --> 00:19:57,297
陶器の断片を調べることで
156
00:19:57,564 --> 00:20:02,569
ロジャー・グリーン博士は太平洋の開拓者のルーツをたどる
157
00:20:02,769 --> 00:20:06,339
「ここはシガトカ砂丘の最下層」
158
00:20:06,473 --> 00:20:09,542
「もっともエキサイティングな場所です」
159
00:20:10,76 --> 00:20:15,782
「ここには 紀元前5〜600年にさかのぼるラピタ式土器があり
160
00:20:15,949 --> 00:20:19,185
「その層から土器全体を再構築することができます」
161
00:20:19,486 --> 00:20:23,690
「典型的な器の形状でそれとわかります」
162
00:20:24,290 --> 00:20:33,566
「この地層で重要なのは この出土品と
 東の島で見つかる出土品をリンクできることです」
163
00:20:33,767 --> 00:20:40,106
「トンガ サモア さらに西太平洋でも同じ素材を使用していて」
164
00:20:40,573 --> 00:20:48,548
「おどろくべきことに ポリネシアの人々の
 祖先の起源をたどることができるのです」
165
00:20:49,949 --> 00:20:54,954
考古学者にとって 陶器のデザインは‘文化の指紋’だ
166
00:20:55,188 --> 00:20:57,490
「今はこのデザインね」
167
00:20:59,259 --> 00:21:02,262
ロジャー・グリーンがやってきたのは フィジーのロワイェ村
168
00:21:02,696 --> 00:21:06,833
現代の陶工たちから 古代のデザインを学んでいる
169
00:21:09,669 --> 00:21:12,872
「この古いデザインですが 今でも作れますか?」
170
00:21:13,239 --> 00:21:16,776
「3000年ほど前のものですが」
171
00:21:17,711 --> 00:21:24,484
グリーンはラピタ式土器のデザインを分析し
古代のパターンを再現する道具を作成した
172
00:21:25,452 --> 00:21:28,488
「木製の道具で再現できますか?」
173
00:21:28,755 --> 00:21:29,723
「はい」
174
00:21:31,991 --> 00:21:37,197
「これで 印をつけるんですね」
175
00:21:41,267 --> 00:21:44,637
「ちょっと揺らすんですか?貝殻のときみたいに」
176
00:21:44,771 --> 00:21:45,638
「ええ」
177
00:21:48,341 --> 00:21:51,344
グリーンは一連のモチーフのパターンを見出した
178
00:21:52,245 --> 00:21:55,415
この模様は緻密な法則によって組み立てられている
179
00:21:55,882 --> 00:22:00,887
単語が文法的に組み合わされて文を生成するのに似ている
180
00:22:01,988 --> 00:22:08,94
言語と同様 デザインもまた
文化共有の証となる
181
00:22:15,168 --> 00:22:21,408
最初期のラピタ式デザインは
ニューギニアの北 ビスマルク群島で発見された
182
00:22:22,676 --> 00:22:27,347
ここで考古学者は 
初期の海洋民族のルーツをたどった
183
00:22:27,614 --> 00:22:34,120
1500マイルの外洋を東に旅し
点在する島々に定住した人々だ
184
00:22:34,454 --> 00:22:40,93
彼らは 3000年以上前に
フィジー トンガ サモアに到達した
185
00:22:41,361 --> 00:22:47,634
「土器分析の結果は他の物質研究からも裏付けられます」
186
00:22:47,867 --> 00:22:51,771
「さまざまな物質が ラピタ社会間で交換されました」
187
00:22:52,339 --> 00:22:54,641
「例えば雲母は」
188
00:22:54,974 --> 00:22:58,745
「ボディ・ペインティングに使われたんでしょう」
189
00:22:58,912 --> 00:23:01,247
「火山ガラスの黒曜石は」
190
00:23:01,514 --> 00:23:06,519
「ナイフや削り器などの道具に使われたでしょうし」
191
00:23:06,619 --> 00:23:10,323
「チャート(堆積岩)も同様に使われました」
192
00:23:10,757 --> 00:23:14,694
「最もよく知られているのは黒曜石で」
193
00:23:15,61 --> 00:23:22,2
「たとえばこの黒曜石は ニューギニア沖 
ビスマルク諸島から来たものです」
194
00:23:22,168 --> 00:23:30,377
「700年以上をかけて 
1000マイル離れたソロモン諸島に持ち込まれました」
195
00:23:30,677 --> 00:23:37,17
「700年以上をかけて
黒曜石を1000マイルも運ぶことができるのなら」
196
00:23:37,217 --> 00:23:42,222
「熟練した航海士や船乗りであったはずです」
197
00:23:45,525 --> 00:23:51,64
ポリネシア人
風と波に逆らって航海したことに疑いの余地はない
198
00:23:56,102 --> 00:24:01,574
しかし現在 航海用カヌーを作り 
使うことができるのはミクロネシア人だけだ
199
00:24:04,477 --> 00:24:08,314
サタワル人のカヌーは技術的な到達点だ
200
00:24:15,455 --> 00:24:20,460
細く非対称の船体は
アウトリガーの抗力を相殺するように設計され
201
00:24:20,560 --> 00:24:23,196
カヌーは常に直進する
202
00:24:25,932 --> 00:24:28,635
「プロア船」と呼ばれるこの技法により
203
00:24:28,802 --> 00:24:32,305
アウトリガーは風に向かって進むことができる
204
00:24:33,239 --> 00:24:38,645
方向を変えるときは 帆全体を反対側に移動する
205
00:25:14,781 --> 00:25:19,786
プロア船のデザインは 3000年前に完成していた
206
00:25:27,27 --> 00:25:32,32
カヌー製作の複雑な技術を習得している者はごくわずかだ
207
00:25:50,316 --> 00:25:54,788
イカガは カヌー製作の達人である‘セナ’の称号をもつ
208
00:25:56,956 --> 00:26:01,294
「線に沿って切るんだ」
209
00:26:07,167 --> 00:26:11,37
手斧は パンノキの丸太から船体を掘り出すのに使う
210
00:26:16,609 --> 00:26:18,978
イカガは設計図を使わない
211
00:26:19,913 --> 00:26:23,850
長年 彼はカヌーの複雑な形状を記憶してきた
212
00:26:33,460 --> 00:26:36,196
「ここからやるか?」
213
00:26:38,264 --> 00:26:41,334
「いや 真ん中からだ」
214
00:27:07,27 --> 00:27:12,32
これが終わったら 船体をカヌーハウスに運び 乾燥させる
215
00:27:13,700 --> 00:27:16,169
サタワル島には8つのカヌーハウスがある
216
00:27:17,3 --> 00:27:20,707
男たちの社交クラブであり 学校であり
工房でもある
217
00:27:39,359 --> 00:27:43,263
カヌー作りに必要なものはすべてサタワル島で手に入る
218
00:27:48,468 --> 00:27:50,303
ロープはココナツの繊維から作る
219
00:27:52,839 --> 00:27:56,343
ココナッツの殻は
‘セナック’と呼ばれる細い撚り糸になる
220
00:28:08,521 --> 00:28:13,526
セナックロープは粗く カヌーに使うのに適している
221
00:28:22,736 --> 00:28:27,741
火で温めたパンノキは 
カヌーの水タンクの継ぎ目を作る
222
00:28:31,611 --> 00:28:36,349
ココナッツの柔軟な外皮は
厚板間のコーキング材にうってつけだ
223
00:28:58,138 --> 00:29:01,341
厚板はいずれも正確に切り出される
224
00:29:16,856 --> 00:29:21,861
くさびとやしの葉で板を留めて
パンノキの板材が固定されるまで待つ
225
00:30:02,936 --> 00:30:05,772
2週間後 カヌーはほぼ完成
226
00:30:06,6 --> 00:30:09,42
仮止めの紐を抜いて セナックのロープを結わえる
227
00:30:15,148 --> 00:30:20,153
何世紀もの間 太平洋では
こうやってカヌーが作られてきた
228
00:30:23,23 --> 00:30:26,926
考古学者は これらと同じ技術が
229
00:30:26,926 --> 00:30:30,530
サタワル島から東4000マイル地点の島にも
あることを見出した
230
00:30:34,801 --> 00:30:39,739
フアヒネのタヒチ島では ビショップ博物館のヨシ・セノトが
231
00:30:39,739 --> 00:30:42,108
驚くべき発見をした
232
00:30:42,976 --> 00:30:46,346
古代の航海者のカヌーに使った
2枚の板材だ
233
00:30:50,984 --> 00:30:57,524
1100年間埋もれていたもので
古代のカヌーに関する いまのところ唯一最古の発掘物だ
234
00:31:03,663 --> 00:31:07,701
板材の片側に 紐を通す穴がある
235
00:31:08,568 --> 00:31:11,237
このカヌーは セナック・ロープで結び固定されていた
236
00:31:11,604 --> 00:31:14,40
サタワルのカヌーと同じ技法だ
237
00:31:16,343 --> 00:31:24,784
西暦850年 津波がこの島を襲い
何百もの物品が泥の保護層に埋もれた
238
00:31:27,554 --> 00:31:28,788
「ヨシ」
239
00:31:31,91 --> 00:31:34,194
「何を見つけた?」
「また釣り針よ」
240
00:31:35,161 --> 00:31:37,630
「いいね」
241
00:31:37,997 --> 00:31:41,0
「初期のものね このあたりでよく出るわね」
242
00:31:41,468 --> 00:31:47,140
「初期のマルケサス型かな 曲がり方がこう」
243
00:31:49,209 --> 00:31:52,12
200以上の釣り針が発見されている
244
00:31:52,545 --> 00:31:55,915
これはサンゴ礁の小さな魚を獲るためのものだ
245
00:32:00,854 --> 00:32:06,493
真珠貝を使ったこのココナッツおろし器の形状は
サタワルに見られるものと似ている
246
00:32:15,502 --> 00:32:20,507
このペンダントは階級章で 首長のものだろう
247
00:32:24,711 --> 00:32:28,281
フアヒネ島では真珠貝の遺物が多く出土する
248
00:32:28,581 --> 00:32:33,586
セノトは ここが
交易品を製造する村であると考えている
249
00:32:37,390 --> 00:32:41,461
別の場所では「精霊石」が見つかっている
250
00:32:41,928 --> 00:32:44,431
ボンバライの寺院の跡だ
251
00:32:45,365 --> 00:32:50,370
フアヒネでは 男が海に出る前に儀式を行った
252
00:32:52,272 --> 00:32:54,541
「全長を測ろう」
253
00:32:55,141 --> 00:33:00,146
最後の木製の出土物から カヌーのサイズを推測する
254
00:33:00,613 --> 00:33:05,618
13フィートの舵
80フィートのカヌーに取り付けられていた
255
00:33:06,786 --> 00:33:11,791
「全長3メートル88センチ」
256
00:33:12,25 --> 00:33:13,927
「完成品ではないわね」
257
00:33:14,227 --> 00:33:22,702
「そうだね 斧の跡が残っているし 表面が雑だね」
258
00:33:23,136 --> 00:33:26,339
「きちんと仕上げられていない」
259
00:33:26,506 --> 00:33:29,142
「ここで舵を作ってたんだね」
260
00:33:29,309 --> 00:33:32,746
「ということは カヌー自体もね」
261
00:33:36,549 --> 00:33:44,57
1300年前 フアヒネ島民は
大型の航海用カヌー用にこの板を作った
262
00:33:53,266 --> 00:33:57,470
ポリネシア人はこのカヌーで壮大な旅に出て
263
00:33:57,704 --> 00:34:00,640
太平洋の最果ての地に住み着いた
264
00:34:02,976 --> 00:34:06,413
ポリネシアは壮大な海洋移民の舞台だ
265
00:34:06,646 --> 00:34:13,553
3000年以上前に ラピタ文化の人々が
フィジー トンガ サモアに到着
266
00:34:13,753 --> 00:34:19,25
紀元1年頃 東に向かい
ポリネシアの中心に押し寄せた
267
00:34:19,392 --> 00:34:24,397
この地から 彼らは長く困難な航海に乗り出す
268
00:34:24,698 --> 00:34:29,703
向かう先は ニュージーランド イースター島 ハワイだ
269
00:34:35,108 --> 00:34:38,411
クック船長より15世紀以上前に
270
00:34:38,411 --> 00:34:42,882
ポリネシアのカヌーがハワイ諸島に上陸していた
271
00:35:34,334 --> 00:35:37,337
モロカイ島 ハラワ渓谷
272
00:35:40,106 --> 00:35:45,578
10年前 考古学者が
古代ハワイの村落の痕跡を発見した
273
00:35:47,647 --> 00:35:52,652
今は草が生い茂るこの地に
最初の入植者が上陸したのだ
274
00:35:54,587 --> 00:35:57,657
ビショップ博物館の考古学者
パトリック・キルヒ博士
275
00:35:58,825 --> 00:36:04,998
「西暦600年頃 初期ポリネシア人の一団が
 東モロカイのハラワ渓谷に到着しました」
276
00:36:05,498 --> 00:36:09,669
「彼らにとって この谷こそ
 理想的な環境でした」
277
00:36:09,969 --> 00:36:14,174
「豊富な淡水
 タロイモ栽培に適した低地」
278
00:36:14,341 --> 00:36:18,211
「サツマイモなどの乾燥作物を
 栽培できるなだらかな地形」
279
00:36:18,478 --> 00:36:23,16
「湾にいたる海岸線では
 貝や魚がたくさん獲れます」
280
00:36:23,249 --> 00:36:25,852
「私はこの低い丘のあたりを発掘して」
281
00:36:26,152 --> 00:36:28,955
「居住跡を見つけました」
282
00:36:29,322 --> 00:36:35,595
「杭跡や 礎石の配置から
 小さな円形の小屋に住んでいたことがわかります」
283
00:36:35,829 --> 00:36:40,400
「小屋に残されていたのは
 石斧 釣り針 サンゴでできたヤスリ」
284
00:36:40,400 --> 00:36:42,502
「貝や骨でできた装飾品」
285
00:36:42,502 --> 00:36:49,109
「これら人工物の様式は タヒチ マルケサスなど
 ここより南の島々で見つかったものと似ていました」
286
00:36:49,342 --> 00:36:53,480
「犬 豚 鶏の骨もありました」
287
00:36:53,480 --> 00:37:00,687
「人々が新天地を求めて 
 ここまで航海してきたことがわかります」
288
00:37:02,55 --> 00:37:08,595
「ハルワ渓谷は いわばハワイ社会の発展の縮図で」
289
00:37:08,595 --> 00:37:14,534
「最初の定住から 複雑な首長国に至る
 進化の過程が見て取れるのです」
290
00:37:26,680 --> 00:37:30,617
島々の豊富な資源に魅了されたハワイ人は
291
00:37:30,617 --> 00:37:34,721
航海を捨て 豊かな渓谷の斜面を耕作し始めた
292
00:37:36,356 --> 00:37:39,325
それぞれの谷では 首長が権力を握った
293
00:37:40,694 --> 00:37:44,230
彼らは島全体の支配権を巡って戦った
294
00:37:48,1 --> 00:37:51,638
巨大な寺院が 征服の偉業と 神々を称える
295
00:37:57,977 --> 00:38:00,547
クック船長が来航する前の世紀には
296
00:38:00,980 --> 00:38:04,84
ハワイの首長たちは頻繁に戦争した
297
00:38:13,59 --> 00:38:18,498
「コナの洞窟は 
 戦争中の避難所としても使われていました」
298
00:38:19,32 --> 00:38:24,37
「棒人間みたいなペトログリフ(壁画)は
 ここに住んでいた庶民でしょう」
299
00:38:25,5 --> 00:38:28,708
「洞窟の光沢のある溶岩壁に刻まれています」
300
00:38:29,42 --> 00:38:31,411
「これは人物画で」
301
00:38:31,878 --> 00:38:34,581
「カヌーの櫂を掲げていますね」
302
00:38:34,981 --> 00:38:39,486
「これも 櫂を頭上に持ち上げています」
303
00:38:39,686 --> 00:38:41,588
「これは釣り針でしょうか」
304
00:38:41,654 --> 00:38:50,330
「ハワイ社会の発展が 長距離航海の特性に
 基づいているとしたら 面白いですね」
305
00:38:50,730 --> 00:38:55,735
「航海を成功させるには 
 船長に大きな権限がなければなりません」
306
00:38:56,369 --> 00:39:01,374
「乗組員は リーダーが新しい土地に導いてくれると
 信じていたはずです」
307
00:39:01,975 --> 00:39:06,980
「ですから ハワイの強力な諸公国が発展しえたのは」
308
00:39:07,147 --> 00:39:10,884
「カヌー社会の特性によるものなのです」
309
00:39:13,19 --> 00:39:18,24
1976年 カヌー社会は生まれ変わった
310
00:39:20,960 --> 00:39:25,965
ポリネシア航海船の精密なレプリカ
ホクレア号
311
00:39:33,39 --> 00:39:36,543
素材は現代のものだが
古代のデザインを踏襲している
312
00:39:38,445 --> 00:39:41,247
ホクレア号は ハワイータヒチ間を航行し
313
00:39:41,715 --> 00:39:46,720
ポリネシアのカヌー製作者と
航法師の伝統的技術を再現する旅に出た
314
00:39:49,556 --> 00:39:54,561
乗組員17人 物資6トン
315
00:39:58,832 --> 00:40:02,702
ホクレア号の旅は 1000年前のスタイルだ
316
00:40:02,936 --> 00:40:05,405
海図や計器は使わない
317
00:40:05,939 --> 00:40:09,275
航法師は マウ・ピアイルックだ
318
00:40:11,745 --> 00:40:15,382
近代航法の航海士で 学者でもあるデビッド・ルイスが
319
00:40:15,749 --> 00:40:18,284
マウの航海術を学ぶべく遠征隊に参加
320
00:40:19,252 --> 00:40:24,257
2500マイルの旅は マウも経験がない
321
00:40:24,724 --> 00:40:27,627
しかも見知らぬ海だ
322
00:40:30,563 --> 00:40:32,966
「最初の2,3日は 不安でした」
323
00:40:32,966 --> 00:40:35,602
「でも 経験は積んでいます」
324
00:40:37,103 --> 00:40:39,39
「幾晩もの海の旅」
325
00:40:39,673 --> 00:40:41,574
「嵐も乗り越えてきました」
326
00:40:42,509 --> 00:40:47,514
「恐怖心は脇に置いて 
 海に出ることの幸せを感じようとしました」
327
00:40:50,750 --> 00:40:57,691
旅が進むにつれて ハワイ人のクルーは
 ポリネシアの先人に対する敬意を新たにした
328
00:41:01,561 --> 00:41:04,564
「古代ポリネシア人も 
 いまの私たちと同じです」
329
00:41:04,731 --> 00:41:07,67
「海図も計器もありません」
330
00:41:07,467 --> 00:41:10,437
「彼らも先人たちの教えを信じていたはず」
331
00:41:10,437 --> 00:41:12,372
「それは‘勇気’です」
332
00:41:13,440 --> 00:41:18,445
「勇気さえあれば どこへでも行けるし
 迷うことはありません」
333
00:41:19,412 --> 00:41:23,950
「私は先人たちの言葉を信じるからこそ
 航法師なのです」
334
00:41:25,285 --> 00:41:29,689
「父のカヌーハウスで このことを学びました」
335
00:41:30,824 --> 00:41:36,663
サタワル島で マウは次世代に航海術を伝承する
336
00:41:39,966 --> 00:41:44,371
「マットに穴を開けることから始める」
337
00:41:48,641 --> 00:41:51,277
「星の動きを学ぶ」
338
00:41:51,611 --> 00:41:54,581
「それから海に出る」
339
00:41:57,684 --> 00:42:00,286
マウは シンプルな概念から語り始める
340
00:42:00,420 --> 00:42:02,889
スター・コンパスのようなものだ
341
00:42:04,591 --> 00:42:09,596
32の珊瑚岩が 星の出 星の入の方角を表す
342
00:42:16,569 --> 00:42:19,372
「マイラップはここから昇る」
343
00:42:19,572 --> 00:42:21,808
コンパスは東向き
344
00:42:22,542 --> 00:42:26,579
 ‘大きな鳥’を意味するマイラップ星
345
00:42:35,422 --> 00:42:39,92
「これはみな‘北の星’だ」
346
00:42:47,634 --> 00:42:50,670
「数えてみようか」
347
00:42:54,174 --> 00:42:58,111
「マイラップとウリウルの間に 星が7つある」
348
00:42:58,478 --> 00:43:02,582
「南にも星が7つ」
349
00:43:14,761 --> 00:43:17,63
「これをまず覚えるんだ」
350
00:43:22,35 --> 00:43:27,40
マウのコンパスは 
星の出 星の入の方角によって定義される
351
00:43:28,341 --> 00:43:33,146
マイラップ星は サタワル島の東から昇り 西に沈む
352
00:43:33,246 --> 00:43:35,415
これが東西を定義する
353
00:43:36,149 --> 00:43:41,154
ムール星は北東から昇り 北西に沈む
354
00:43:41,588 --> 00:43:44,24
これはトゥモア星
355
00:43:44,591 --> 00:43:49,596
南十字星は つねに南を指す
356
00:43:51,64 --> 00:43:56,69
地球の自転軸の先にある星は動かない
357
00:43:56,536 --> 00:44:00,540
ウォルウォルファン星 北極星
358
00:44:01,574 --> 00:44:04,744
マウのスター・コンパスは シンプルな学習教材だ
359
00:44:05,245 --> 00:44:10,250
実際の夜空は はるかに複雑だ
360
00:44:12,18 --> 00:44:17,23
6月 東の空の星はこのように動く
361
00:44:17,724 --> 00:44:22,729
昇ってくるトゥモア星は南東を指し示す
362
00:44:23,329 --> 00:44:27,167
真夜中になると トゥモア星は高く昇りすぎるので
363
00:44:27,400 --> 00:44:32,172
同じ方角から昇る 次の目印を見つけなければならない
364
00:44:33,773 --> 00:44:37,210
トゥモア星と同じ方角から昇るのがシクストラ星
365
00:44:39,312 --> 00:44:42,982
各コンパスポイントは 多くの星によって定義される
366
00:44:43,116 --> 00:44:48,121
マウは 150以上の軌道を記憶している
367
00:44:54,994 --> 00:44:59,999
出航から20日 ホクレア号は赤道に近づく
368
00:45:00,266 --> 00:45:05,271
タヒチ島は1400マイル先にあり 
マウは トゥモア星の昇る方角に舵を取る
369
00:45:06,773 --> 00:45:11,277
「今向かっているのは?」
370
00:45:11,611 --> 00:45:14,447
「トゥモア星です」
371
00:45:15,782 --> 00:45:18,551
「南西ですね」
372
00:45:18,852 --> 00:45:23,256
「アンタレスですね」
373
00:45:23,923 --> 00:45:28,928
「もうすぐお目にかかれますね」
374
00:45:32,966 --> 00:45:35,468
タヒチまで1000マイル
375
00:45:35,468 --> 00:45:37,771
嵐がホクレア号を出迎える
376
00:45:46,413 --> 00:45:53,153
8昼夜 空は雲に覆われ 
導き星は 垣間見ることさえできない
377
00:45:53,953 --> 00:45:57,857
マウは星以外のもの手掛かりにして
コースを維持する
378
00:45:58,24 --> 00:46:02,595
「海のうねりには8種類ある」
379
00:46:04,831 --> 00:46:06,933
「続けよう」
380
00:46:15,41 --> 00:46:18,144
「うねりが出会うところで」
381
00:46:19,746 --> 00:46:23,583
「大きな頂ができる」
382
00:46:28,254 --> 00:46:31,191
「ここにいて」
383
00:46:31,391 --> 00:46:34,394
「うねりを見るんだ」
384
00:46:42,202 --> 00:46:45,705
「マイラップ星に向かっていれば」
385
00:46:47,874 --> 00:46:52,879
「マイラップ星からのうねりは
 こんなふうに船体を打つ」
386
00:46:53,246 --> 00:46:55,648
「そして後ろに抜けてゆく」
387
00:47:03,556 --> 00:47:06,826
「他の種類のうねりもある」
388
00:47:07,27 --> 00:47:12,32
「どれもカヌー操作には必要だ」
389
00:47:16,636 --> 00:47:18,338
「ムル星からのうねりは」
390
00:47:18,538 --> 00:47:23,543
「船体とアウトリガーを同時にたたく」
391
00:47:32,285 --> 00:47:37,290
「だからカヌーはこんなふうに動く」
392
00:47:47,33 --> 00:47:52,38
経験をつんだ航法師であれば 
カヌーのあらゆる上下動を感知する
393
00:47:52,906 --> 00:47:57,911
うねりが見えなくても コースを外れることはない
394
00:47:59,45 --> 00:48:01,781
「この波はどこから?」
395
00:48:01,781 --> 00:48:04,117
「マイラップ星です」
396
00:48:04,284 --> 00:48:06,686
「じゃあ北東ですね?」
397
00:48:10,256 --> 00:48:15,261
「ムル星からの波も北東です」
398
00:48:15,528 --> 00:48:18,465
「南西からの波も感じますね」
399
00:48:18,798 --> 00:48:22,369
「夜でも波がわかるんですか?」
「ええ」
400
00:48:26,106 --> 00:48:29,609
ホクレア号はすでに2000マイル以上を航行
401
00:48:29,609 --> 00:48:32,712
潮流も風向も違う海域だが
402
00:48:33,380 --> 00:48:38,385
マウはタヒチへの方角は決して見失わない
403
00:48:40,854 --> 00:48:44,424
彼は毎日 ホクレア号の位置を修正する
404
00:48:44,824 --> 00:48:49,829
方角 速度 カヌーに作用する
すべての力を計算するのだ
405
00:48:54,901 --> 00:48:58,304
海図はマウの頭の中にのみ 存在する
406
00:48:58,972 --> 00:49:05,645
しかし 2500マイル余の航海で 
 誤差は40マイルを下回る
407
00:49:07,647 --> 00:49:09,149
30日目
408
00:49:09,683 --> 00:49:13,319
マウの予測では 24時間以内に到着するはずだ
409
00:49:21,27 --> 00:49:22,962
マウの旅は成就した
410
00:49:23,463 --> 00:49:27,434
彼は古代の航海技術を
ポリネシア海域によみがえらせた
411
00:49:28,1 --> 00:49:32,105
偉大なる航海遺産を見た人々は
誇りを取り戻した
412
00:49:36,509 --> 00:49:39,713
ホクレア号の到着日は 国民の祝日となった
413
00:49:40,780 --> 00:49:45,518
海岸は 英雄を出迎える20000人で埋め尽くされた
414
00:49:51,624 --> 00:49:55,862
「カヌーはゆく」
415
00:49:57,564 --> 00:50:00,533
「人々を乗せて」
416
00:50:03,169 --> 00:50:06,873
「彼らはゆく」
417
00:50:07,374 --> 00:50:11,378
「海こそ故郷」
418
00:50:13,613 --> 00:50:16,383
「はるか海の果てまで」
419
00:50:17,550 --> 00:50:20,86
「時きたれば」
420
00:50:23,256 --> 00:50:26,426
「主 立ち現れり」
421
00:50:29,195 --> 00:50:33,233
「父と 子と」
422
00:50:43,576 --> 00:50:45,478
タヒチへの航海はすばらしいものでした」
423
00:50:45,845 --> 00:50:49,649
「みんな 先祖が成し遂げてきたことを
 思い出すでしょう」
424
00:50:50,50 --> 00:50:52,719
「学びたいという者も出てくるでしょう」
425
00:50:56,589 --> 00:51:00,894
「祖先は航海術を 誇りの源として大切にしていました」
426
00:51:01,561 --> 00:51:03,997
「最近の子供たちは違います」
427
00:51:04,431 --> 00:51:06,900
「怖がる子もいるし」
428
00:51:07,200 --> 00:51:09,836
「面倒くさがる子もいます」
429
00:51:10,770 --> 00:51:14,341
「航法師がいなくなれば
 サタワル島もなくなります」
430
00:51:15,8 --> 00:51:19,145
「みな チューク諸島 サイパン グアムに出ていきます」
431
00:51:19,312 --> 00:51:22,82
「仕事を探しにね」
432
00:51:26,753 --> 00:51:31,224
「今では 航海術を好んで実践しているのは
老人ばかりです」
433
00:51:31,591 --> 00:51:33,326
「できれば次の世代に伝えたい」
434
00:51:44,637 --> 00:51:48,541
「この歌は 島々を駆け巡る
 男たちの歌だ」
435
00:51:50,210 --> 00:51:52,245
「航法師の歌だ」
436
00:51:59,686 --> 00:52:02,655
「彼は 旅立つ」
437
00:52:03,957 --> 00:52:07,660
「島を遠く離れて」
438
00:52:09,829 --> 00:52:13,133
「空を読み」
439
00:52:14,734 --> 00:52:17,937
「風を読む」
440
00:52:21,708 --> 00:52:24,477
「海の精よ」
441
00:52:25,445 --> 00:52:28,314
「さだめを教えておくれ」
442
00:52:31,284 --> 00:52:35,989
「彼は 旅立つ」
443
00:52:45,231 --> 00:52:47,867
「義理の息子はどうするでしょうか」
444
00:52:48,435 --> 00:52:50,203
「多分 島を出てゆくでしょう」
445
00:52:50,603 --> 00:52:52,172
「私の娘を連れて」
446
00:52:53,340 --> 00:52:55,375
「息子たちの多くが島を出て行きました」
447
00:52:56,42 --> 00:52:57,711
「幸せになってほしい」
448
00:53:00,647 --> 00:53:02,716
「義理の息子は寄宿校に送られました」
449
00:53:04,517 --> 00:53:07,87
「クルーの多くも寄宿校に行きました」
450
00:53:09,55 --> 00:53:10,623
「私も学校に送られましたが」
451
00:53:10,824 --> 00:53:13,827
「島に戻って 航海術の修行を続けました」
452
00:53:14,127 --> 00:53:15,929
「こんな面白いものはない」
453
00:53:19,165 --> 00:53:21,768
「しかし 学校に行った子供たちは」
454
00:53:22,35 --> 00:53:25,472
「島に戻っても 航海術には関心がありません」
455
00:53:33,13 --> 00:53:38,18
「ちいさな息子の二人には 島に残ってほしいんです」
456
00:53:39,152 --> 00:53:42,489
「ここで 私が教えうる限りのことを 受け継いでほしい」
457
00:53:43,823 --> 00:53:45,125
「私が死ぬ前に」
458
00:53:46,793 --> 00:53:48,762
「学校にいくのは構いませんが」
459
00:53:49,262 --> 00:53:50,697
「他の島ではだめです」
460
00:53:51,798 --> 00:53:53,533
「この島で 伝えたい」
461
00:54:21,828 --> 00:54:24,431
「よく見てな」
462
00:54:31,638 --> 00:54:33,606
「引っ張れ」
463
00:54:44,918 --> 00:54:48,555
「この映画を若い者たちが観たら」
464
00:54:49,489 --> 00:54:51,91
「わかってもらえるかもしれません」
465
00:54:51,758 --> 00:54:53,326
「航海術の大切さを」
466
00:54:58,331 --> 00:55:05,71
「いま伝えなければ 航海術は永遠に失われてしまいます」
467
00:55:06,39 --> 00:55:10,10
「映画を観れば 
 何を失いつつあるか 考えてくれるでしょう」
468
00:55:11,544 --> 00:55:14,247
「だから この映画は重要な意味を持っているんです」
469
00:55:15,548 --> 00:55:21,755
「私の世代より後 航法師が途絶えてしまうことが心配です」